シンポジウム「津波から人命を守る」に参加して

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2014年4月26日、兵庫県立美術館ミュージアムホールにて、近畿不動産鑑定士協会連合会及び阪神・淡路まちづくり支援機構が共同開催のシンポジウムに参加した。

第一部では「津波想定区域における地価の状況(和歌山県・徳島県・高知県視察に基づく報告)」として、各県士協会がリレー形式にて、津波想定区域と地価公示、地価調査のポイントを照らし合わせ、地価動向について報告が行われた。

浸水想定区域では、中長期的に需要(人口)が減少していき、それに伴って周辺商店街等の店舗が撤退して利便性が悪くなり、ますます需要(人口)が減少するという悪循環が発生する可能性があり、現在、浸水想定エリアでは、この負のスパイラルの初期段階に入っていて、地価の大幅な下落が続いているとの内容であった。

また、高齢化率と最大津波高との牽連性が認められるとのこと、東日本大震災後において高台の土地需要が高まり、高台エリアでは地価の下げ止まり、または下落率の縮小があり、浸水エリアでの下落幅拡大が認められるとの報告があった。

第二部では「津波想定の最新情報とその影響・対策」として、人と防災未来センター長・関西大学教授(京都大学名誉教授)であられる河田惠昭先生の基調講演があった。

中央防災会議防災対策実行会議委員でもあられる河田先生によれば、東日本大震災は1回こっきりのものであり、南海トラフ大地震は必ず起こるが、首都直下型地震は起きないかもしれないとの新たな見解の発表があった。
根拠としては、現在解明が進んでいるところではあるが、東日本大震災によって太平洋プレートと北米プレートとの関係性、海底断面層の変化が見られ、地震発生の前後で北米プレートが圧縮から伸張へと応力場が変化したことを挙げていた。

同氏は南海トラフ大地震で甚大な巨大津波が想定されている西日本の自治体各所における防災計画にも関与されており、海岸保全施設等のハード対策によって津波被害を軽減するとともに、それを超える津波に対しては防災教育の徹底、ハザードマップの整備など、避難することを中心とするソフト対策を重視しなければならないとの内容であった。

また、米国と日本の住宅再建制度の違いについても述べられた。具体的には、ニューヨーク・スタッテン島のBUYOUT制度、ニューオリンズでの水害保険の再建について触れ、「自己責任における居住の選択」という、日本ではあまり馴染みがない思考プロセスが印象的であった。

第三部ではパネルディスカッション「いかにして津波から人命を守るか」が予定されていたが、パネリストとして予定されていた高知県危機管理部副部長の酒井浩一氏、和歌山県串本町総務課副課長の濵地弘貴氏、関西広域連合広域防災局防災計画参事の藤森龍氏より、各自治体及び組織の南海トラフ大地震に備えた現在の取り組み、今後の各種整備計画についての報告がなされた。
パネルディスカッションそのものは、時間の都合で15分程度となり、第二部を踏まえた各自治体、組織の論点整理がなされた。

シンポジウム後に行われた懇親会にも参加した。
近畿圏の不動産鑑定士たちとの会話で最も印象深かったのは、震災に対する危機管理意識の高さである。さらに、地価公示をはじめ、自分たちの専門領域である地価と震災による影響とのリンク付けが完全に出来ていることであった。
残念ながら、東京の不動産鑑定士たちは首都直下型地震と日々の業務とのリンク付けが稀薄であり、危機管理意識も非常に低い。地価公示や地価調査においても、浸水ハザードマップとの照らし合わせなど検討していないと思われる。

東京会において、災害に備える具体的な活動に関与しているのは相談事業委員会だけであり、危機管理対応委員会なる組織は存在しない。さらに、相談事業委員会の中でも災害に備える活動に関与している者は少ない。

首都直下型地震が起これば、人命とともに不動産は壊滅的な被害を受ける。不動産の経済価値について唯一判定する国家資格者である我々不動産鑑定士が、震災後に活躍するための仕組みづくりを平常時である今現在において構築しなければならないと改めて考える。

災害復興まちづくり支援機構を通じた諸活動や、住家被害家屋状況調査に向けた研修、10月に行われる予定の福島県災害現地研修を通じて、相談事業委員会内外に亘る東京都の不動産鑑定士たちに少しでも関心を持ってもらいたいと願っている。


佐藤 麗司朗


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by tukasa-rea | 2014-05-22 00:02 | 佐藤 麗司朗(不動産鑑定士) | Comments(0)